苛性ソーダとジルコニアで日本首位の総合化学メーカー
東ソーは、1935年に「東洋曹達工業」として創業した。その名のとおり、苛性ソーダ(NaOH, 水酸化ナトリウム)で日本首位、世界有数の生産量を誇る総合化学メーカーだ。
苛性ソーダ・塩素の「クロロ・アルカリ事業」、塩ビ樹脂などの「石油化学事業」、ジルコニアや導電性高分子などの「機能商品事業」の三つの事業分野で多くの中間製品を生産する。
製品は、自動車、エレクトロニクス、建設、住宅、工業製品、食品、医療など日常生活のあらゆる場面で接する工業製品のどこかに使われる。
苛性ソーダは食塩を電気分解して作る。紙、パルプ、繊維品、洗剤など幅広い製品の製造に使われる。他に、塩素や、臭素、ナフサクラッカー、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンなども主力製品である。
これらはコモディティ商品と位置付けており各国の化学メーカーと競合する。市況に合わせ、脱炭素コストを転嫁しながら輸出から需要地での地産地消型としていくことを課題としている。
一方、自社開発の高機能商品によって収益体質の強化を目指す。社員13,858人のうち1,100人が研究職に従事する。
たとえば歯科材や装飾品に使うジルコニア、半導体むけの石英ガラスと薄膜材料、導電性高分子、診断事業や計測事業、合成ゴム事業にも強みがある。
業績と株価
過去最高の業績は2022年3月期の売り上げ9,185億円、営業利益1,440億円だ。うち海外売り上げ比率は51%、実質無借金で、自己資本比率64%と財務は非常に安定している。
東ソー(4042) | |
日付 | 11/8 |
時価総額(百万円) | 508,752 |
株価(円) | 1,565 |
前期売上(百万円) | 918,580 |
前期純利益(百万円) | 107,938 |
直近総資産(百万円) | 1,133,216 |
直近自己資本(百万円) | 725,291 |
PER | 6.79 |
PBR | 0.7 |
ROE | 10.2% |
PSR | 0.58 |
ROA | 6.5% |
EPS | ¥230.63 |
BPS | ¥2376.47 |
自己資本比率 | 64% |
今期配当予想 | ¥80 |
配当利回り(予想) | 5.11% |
信用倍率 | 8.78 |
配当は56円(20年3月期)、60円(21年3月期)、80円(22年3月期)、80円(23年3月期見込)と安定している。
株価の上場来高値は2017年11月の2,733円である。2016年3月期以降の業績回復と、営業利益率が15.9%の収益性が評価されていたと考えられる。逆に直近の最安値は2020年3月の1,012円である。
2023年3月期は売上1兆1,100億円営業利益830億円と、増収減益を見込む。
取引経緯
購入(2022/11/8)
11/1の中間決算で通期売上、利益とも下方修正後、11/4に株価は1502円まで下落。
安定高配当の輸出企業が欲しかったので、配当利回り5%以上、海外売り上げ比率50%、自己資本比率50%以上の東ソーはうってつけだと思い購入した。
損切りラインは2020年3月の安値と今回の安値を結ぶ直線を支持線と考え、12/18時点で1529円に設定し直した。
売却(2022/12/19)
12/19に四季報を読んで来季以降の業績に少し翳りを感じ、一旦利益確定を決め1,607円で売却した。
まとめ
日本で首位の苛性ソーダや主力製品である塩ビ樹脂などはコモディティ化している。原料高や、景気の後退懸念、世界各国の同業他社との競争など状況は楽観的ではない。株価は過去最高値から見ると6割程度まで下がっていルガ、更なる下落の可能性もある。
今後、いかに市況の変動に対応するか、独自の強みのある粉末冶金や高分子などの機能製品の収益を伸ばしていくかが課題である。安定した財務と高配当は魅力的なので、引き続き様子を見たい。
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