高級車を受託生産できるマグナ・インターナショナル(MGA)

外国株

世界4位の部品メーカーにして高級車のOEM

カナダに本拠を置くMagna International Incは、NYSE上場の自動車部品メーカーだ。2021年度の売り上げは362億42百万ドルでBosch、デンソー、ZFに次ぐ世界第4位である。

順位社名2021年度売上時価総額
1Bosch(ドイツ)83,858非上場
2デンソー(日本)41,47039,160
3ZF(ドイツ)40,799非上場
4Magna(カナダ)36,24215,842
5Continental(ドイツ)35,95611,834
6現代MOBIS(韓国)32,91415,406
各社レポートから筆者作成、金額は百万ドル、133円/$、1.0649$/€、1,267ウォン/$で換算

注目すべきは製品の幅広さだ。シャーシ、ボディ、シート、外装、エネルギー貯蔵システム、内燃機関・EV双方のパワートレインなどタイヤを除くほぼ全ての基幹部品を提供する。

そして、制御モジュール、自動運転技術、完成車の開発生産のエンジニアリングも提供する総合的な自動車のOEM(Original Equipment Manufacturer)である。

顧客リストにはBMW、ダイムラー、VW、フェラーリ、GM、フォード、リヴィアン、トヨタ、ホンダ、三菱、日米欧の有名自動車メーカーが並ぶ。

特にオーストリアの子会社Magna Steyrのグラーツ工場ではメルセデスGクラス、BMW5シリーズ・Z4、ジャガーE -PACE・I-PACE、トヨタスープラなど高級車の受託生産を行なっている。

部品と完成車両面でエンジン車、プラグインハイブリッド車、EVまで全ての駆動技術を網羅している。

業績は安定、10年以上増配中

直近の業績

売上は300億ドル台後半で推移している。

2022年度は第4Qまで2021年度以上の売上で推移し、増収となった。一方、第2Qはロシア資産の減損を計上したため赤字となり、第4Qもインフレにより売り上げが伸びず減益となった。

2016201720182019202020212022
1Q
2022
2Q
2022
3Q
2022
4Q
売上36,44538,94640,82739,43132,64736,2429,6429,3629,2689,568
税前利益2,7802,9992,9512,2231,0061,948420-8840095
調整後EPS(a)$5.16$5.96$6.71$6.05$3.95$5.13$1.28$0.83$1.07$0.91
ROE20.4%19.8%19.7%15.5%7.0%12.5%12.0%−5.3%10.4%
期末株価(b)$43.3$56.7$45.5$54.8$70.8$80.9$64.3$63.9$47.4$56.2
PER(b/a)8.399.516.789.0617.915.812.619.211.115.4
年次・四半期報告書より筆者作成、PER計算時四半期分のEPSは4倍した

10年連続増配中の四半期配当が魅力

10期連続で増配中である。

2022年度4Qも大きな変化がなく推移すれば2023年の配当も据置または増配が期待できる。配当額が1.80で据置の場合、直近の株価55.06での配当利回りは3.27%となる。

前年末
株価
2月
配当
5月
配当
8月
配当
11月
配当
年間
配当
配当
利回り
前年度
EPS
配当
性向
201554.30.220.220.220.220.881.6%4.3420%
201640.60.250.250.250.251.002.5%4.8820%
201743.30.2750.2750.2750.2751.102.5%5.1621%
201856.70.330.330.330.331.322.3%5.9623%
201945.50.3650.3650.3650.3651.463.2%6.7122%
202054.80.400.400.400.401.602.9%6.0526%
202170.80.430.430.430.431.722.4%3.9544%
202280.90.450.450.450.451.802.2%5.1335%
金額単位はUSD

Magna株の購入根拠(2022/12)

全世界の自動車販売金額は分からないが、販売台数は78.7百万台(2021年、OICA統計)である。一台2万ドルで概算すると1.6兆ドルと推計できる。現在、Magnaが自動車業界で占める売上は約2%。

TESLAも同様の売上であるが、時価総額には大きな差がある。市場からの成長期待の差であろう。

2021年売上時価総額
TESLA53,823353,173
Magna36,24215,842
各社レポートから筆者作成、金額は百万ドル、時価総額は12/28時点

自社ブランドを持たないので保有技術が陳腐化すれば生き抜くことは難しそうだ。一方で完成車メーカーが同社に依存している面もある。白物家電や、携帯電話、PCなど他業界で、生産委託先が現場の技術を蓄積し、委託元の技術を上回った例は過去にも見られる。

高配当のメーカーであり、かつ、次世代の自動車業界でも競争力を保つことを期待して保有することにした。

取引の履歴

2023年2月10日の4Q決算を受け、一旦売却。ただし、四半期配当は0.46ドルへの連続増配。引き続き監視する。

取引内容理由価格損切りライン実現損益
2022/12/27・12/28購入高配当、今期も好業績期待$56.0690週足ボリンジャーバンドで47.6ドルに設定
2023/2/10売却4Q決算により通年で増収も利益が2020年以下まで落ち込み、株価下落に合わせて売却$56.5686$50

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