米国の金利が上がっている。金利が上がれば債券を安く買える。
米10年国債の金利は12月21日時点で年3.7452%だ。資金は拘束されるものの、ほぼ元本が保証された上で年利3%を超えるのは魅力的だ。
とはいえ今まで買ったことがないので特徴が良く分からない。期待通りの利益が出るのか、まずは打診買いした。
商品の種類
証券会社のメニューバーから「外国債券」を選ぶと、社債とともに次の商品がメニューに表示された。いずれも発行済みで市場で売買されている既発債だ。
商品名 | 発行日 | 参考買付単価 | 利払 | |
1 | 米国国債 US TREASURY N/B 2.0% 2025/8/15 | 2015/8/17 | 95.45 % | 年2回2/15,8/15 |
2 | 米国国債 US TREASURY N/B1.625% 2029/8/15 | 2019/8/19 | 88.66 % | 年2回2/15,8/15 |
3 | 米国国債 米ドル建ストリップス債券 2029/8/15 | 1999/8/16 | 78.81 % | なし |
4 | 米国国債 米ドル建ストリップス債券 2044/8/15 | 2014/8/15 | 43.41 % | なし |
参考買付単価は、額面の何%で購入できるかの目安である。いずれも満期時に額面の金額で償還を受けられる。
95.45%であれば、95.45ドルで購入した国債が満期時に100ドルで償還される。保有期間中の利子の反映方法によって二種類に分けられる。
1と2のTREASURY Noteは、保有期間中に定期的に利子が支払われる。「利付債」と呼ばれる。
3と4のストリップス債券は、定期的な利払はない。将来の金利をあらかじめ割引いた低価格で購入できる。「割引債」や「ゼロ・クーポン債」と呼ばれる。買付単価が安いのはそれが理由だ。
4のストリップス債券2044年は22年後の2044年まで保有すれば43ドルの債券が100ドルで償還される。22年で2.3倍に増えるということだが個人的には期間が長過ぎる。
筆者は、残存期間2年半と短く、年2%の利払があり買付単価も額面より約4%安い1の「米国国債 US TREASURY N/B 2.0% 2025/8/15」を購入することにした。
参考価格は上記の通り95.45%とあるが、実際の価格は買ってみないと分からない。
購入手続き
注文にあたり、まず目論見書と、格付機関についての注意書きの閲覧を求められる。
その後、注文画面で条件を指定する。購入額は最低100ドルから、100ドル単位で売買金額を決められる。筆者は1,000ドル分とした。
次に特定か一般か口座の選択と、支払い通貨を円とするかドルとするか選択する。円払に適用されるレートにはスプレッドが乗っている。筆者はドルで購入することにした。
利子と償還金額の受け取り通貨は当初は円になっていて個人メニューから変更できる。筆者はドルの保有を優先しているのでドルに切り替えた。
分かったこと
米国市場休場のため、口座反映は翌日以降と思っていたが、1時間もせずに保有商品一覧に記載された。証券会社との相対取引なので米市場とは関係ないようだ。
実際の購入価格は961.84ドルがドル口座から引かれた。計算は単価95.45%×1,000ドル分購入+前回利払後経過期間分の利子7.34ドル=954.5+7.34=961.84ドルとなるようだ。
1,000ドル分を961.84ドルで購入し、満期まで2年8ヶ月保有した場合、その間の利払50ドルと満額償還38.16ドルにより88.16ドルのプラスとなる。
年間約3.3%の利回りだ。元本保証のメリットを持ちながら高配当株に投資するのと同等の投資といえる。なお、単純化のため受け取り利子の複利効果は計算から除いた。
一方、売却の場合はどうなるのかを知るために1,000ドルのうち額面100ドル分を売却したところ94.59ドルが入金された。
購入分がそのまま戻ってくるとすれば96.184ドルなので、96.184 − 94.59 =1.594ドル(1.65%)分が差し引かれている。
売買手数料はないとのことだが、この差額分が証券会社の利益になると理解した。結構な金額なので、一旦保有したらむやみに売却するのは得策ではないようだ。
試した結論
以上、日本の証券会社から購入できる米国債の既発債を実際に購入してみた。
一定期間資金が拘束されるとともに、株式投資のような大きな変動幅は期待できないが、高い確率で元本を保ったまま安定した収益を期待できる。
少なくとも、資産の一部を米国債に充てることにした。
利払や償還を受ける際の収益は雑収入として20.315%の所得税が課税される。まだ実際に利払や償還を受けていないので、最終的な収益がどうなるかは満期を待ちたい。
また、途中売却で利益を得る可能性も考えつつ価格の変動をみていきたい。
その後の取引
その後、9,000ドル分追加購入し10,000ドル分とした。例えば1/23の19:40時点の価格は9,521ドルだ。
それが2年半後にはほぼ確実に479ドル値上がりしてが10,000ドルが返ってくる。加えて年利2.0%の利払いがあると考えると債券投資の安定性を実感する。
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